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2007年08月05日
今井 雅之氏 (俳優)
2日連続本紙独占インタビュー(前半)
太平洋戦争末期、戦死を前提とした体当たり攻撃を強いられた特別攻撃部隊。6千人以上の若者が、特攻隊員としてその命を犠牲にしてきた。日本国家の大義の下、死を意味する出撃を目の当たりにした彼らの本当の姿を描き出す「The Winds of God」。
日本海軍神風特攻隊をテーマにした本作品は、原作・脚本・演出・主演を手がけた俳優、今井雅之氏(以下敬称略)のライフワークである。1988年の舞台初演以来、度重なる再演、91年のアメリカ初公演を始めとする数々の海外公演に加え、95年には映画にもなった。そして公演開始から13年目となる2001年の9月9日を最後に、この作品は封印されるはずだった。しかし、その2日後ー。
9月11日、同時多発テロが発生。聖戦という名目の下で、民間人を巻き込んだ悲劇が起こる。ワールド・トレード・センターに激突したテロリストに対して、米国メディアの使用した言葉は「KAMIKAZE ATTACK」であった。
「民間人を巻き込んで、女性も乗ってたであろう飛行機を乗っ取って。(民間人には)何の罪もないんですよ。サラリーマンたちがコーヒー飲んでるところに突っ込んでいって。それをカミカゼアタックだって。あれは全く異質なものだと。あのテロとカミカゼ攻撃を一緒にされては困る」
13年かけて伝えてきた、特攻隊員の「生きたい」という必死の想い。「僕が特攻隊の生存者との取材を通して気付いたことなんですけど。攻められた時に、日本の母国を目の前にした時に、(特攻隊員は)母さんたちを守ろうとした。家族を守ろうとした。それが本音なんだと」
彼らは戦争に、時代に、特攻隊として選ばれた運命に翻弄された生身の人間。今井はカミカゼがテロの象徴とされること、同等のレベルで語られることに憤りを感じたという。
「(カミカゼ発言に対して)政府とか民間とか、なぜ謝罪を要求しないんですか。文句言わなくていいけど、オピニオンはあっていいんじゃない?」
そして2度目となる映画化を決めた。自分の〈意見〉を伝えるために。
「とにかく違うって言いたくって、カミカゼアタックじゃないって言いたくって。やらないと気が済まないタイプなんですよ。とにかくおさまらなかったんです」
零戦に乗った彼らの想いを世界に伝えるためには、アメリカで、世界で上映する必要がある。今井は、日本映画史上前代未聞の全編英語で演じることを決定した。
「まあ、もともと同じ様な台詞をブロードウェイでやってましたので。英語で芝居するってことに関しては、そんなに『え?』とは思わなかった。ただし、舞台っていうのはものすごいクリアな英語だったので、変な舞台英語がくっついちゃって。そういう部分で苦労しましたね。日常会話の話し方で、僕はしゃべったことがなかったんで」
また、世界で初めてグランド・ゼロで撮影を敢行したことも話題となった。
「ほんと大変でしたよ、(撮影の)許可が降りるの。僕が撮ったのが(テロから)2年半後だったかな。すごいぴりぴりしてた。ただ、ものすごいもの感じましたよ。でも僕の中ですごく複雑なのが、グランド・ゼロって軍事用語なんですけど、〈爆心地〉っていう意味なんですよね。今世界でグランド・ゼロって言ったら、みんなNYって言うじゃないですか。でも、世界で唯一のグランド・ゼロは広島、長崎なんですよ」
グランド・ゼロでの撮影に見せた今井のこだわり。本作品にかける意気込みは相当なものだった。
準備に4年の歳月をかけ、全身全霊を込めた映画は遂に完成。06年8月、日本公開。そして07年4月、待望のハリウッド公開を迎えることとなる…。
【明日号につづく】
(聞き手/高橋克明、文/三原悠)
【公式サイト】www.winds-movie.com

