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2008年06月22日
Winners for TONYs
WHAT'S ON BROADWAY IN NYC
米演劇界の最高峰を決定する「トニー賞」。由緒ある賞を受賞したのは・・・。
新風で頂点「イン・ザ・ハイツ」
返り咲きで輝く「ジプシー」
2007年5月10日から今年5月7日までにブロードウェイでオープンした作品は34作品。俳優のみならず演出家、振付師、制作チームなど計795人が26部門にノミネートされた。
その中で作品の総体性を評価される作品賞に輝いたのは『イン・ザ・ハイツ(In The Heights)』(ミュージカル部門)。
ほか、『南太平洋(South Pacific)』(ミュージカル・リバイバル部門)、『オーガスト/オーセージ・カウンティ(August: Osage County)』(プレイ部門)、『ボーイング・ボーイング(Boeing-Boeing)』(プレイ・リバイバル部門)の3作品。
シアターゴア(愛劇家)の間ではそこそこ結果の予想がついていた今年のトニー賞だったが、その中で、特に注目したい作品が2作ある。
『レント』のようにオフ・ブロードウェイから出世し、今年3月にブロードウェイデビューを飾ったミュージカル『イン・ザ・ハイツ』と、作品賞は逃したものの、主演女優賞、助演男優賞、助演女優賞を総なめにしたリバイバル・ミュージカル『ジプシー』だ。
「イン・ザ・ハイツ」
マイノリティを描く
ヒスパニック(中南米系)移民が多く住むマンハッタン北部のワシントンハイツ地区を舞台に、親世代と米国生まれの2世の夢と葛藤を描いた『イン・ザ・ハイツ』。
だが、ブロードウェイの傾向として、マイノリティを描いた作品はメガヒットに繋がることが少なく、投資家なども懸念する。その理由として、ブロードウェイの観客層にある。
ブロードウェイの観客の半分は観光客という統計が出ている中、旅行に来た際に選ぶ1本は、決まって「過去に賞を受賞した」、「皆が知っているディズニーもの」、「ビッグスターが出演している」などの話題性のある作品だ。その中で、低い支持を受けるのが決まってマイノリティを主役にした作品だ。
近年でいうと、インドの映画業界、ボリウッドをテーマにした『ボンベイ・ドリーム』は8ヶ月でクローズした。オープラ・ウィンフリーがプロデュースし、あの手この手で、著名俳優を送り込んだ『カラー・パープル』も2年3ヶ月と健闘したものの、興行成績は常に低かった。そんな中、演劇界の新星クイアラ・アレグリア・ヒュードゥスが脚本を手掛けた同作は、「マイノリティをテーマにした作品は評価されにくい」というジンクスをはね除けた。ヒップホップやサルサなどラテン系音楽を取り入れた軽快なメロディーが若い世代に支持され、13部門にノミネートされ、作品賞、作詞・作曲賞、振付け賞、オーケストレーション賞の4部門を受賞した。
特に、主演のリン・マニュエル・ミランダ(Lin Manuel Miranda)は、大学3年の時から書きためていた曲を元に、同作を作り上げ、作詞、作曲賞を受賞した。授賞式では、プエルトリコの旗を掲げ、英語とスペイン語の混ざったスピーチを熱くする姿は、ブロードウェイに新風を巻き起こし、新しいブロードウェイスターの存在を知らしめた。
「ジプシー」
主演、助演賞を総なめ
1959年に初演された往年のミュージカル『ジプシー』で、20年振り、3度目の主演女優賞を受賞したパティ・ルポン(Patti LuPone)。舞台人生35年のベテラン女優だが、受賞のスピーチでは、声を振るわせ、体一杯に受賞を喜んだ姿が印象的だった。
記者会見の席で、「私はもう歳だけど、この声が出続ける限り歌い続けたい」とコメント。ミュージカル女優としてのタイムリミットを察してか、弱気な発言のように思われたが、だからこそ声量が必要とされるローズ役に挑戦し、賞を獲得した事への歓びも一入だったのだろう。
ルポンの周りを固める俳優陣も高い評価を受けた。 同じ作品で、助演男優賞と助演女優賞が受賞することは非常に稀で、ハービー役のボイド・ゲインズ(Boyd Gaines)とルイーズ役の(ラウラ・ベナンティ(Laura Benanti)も驚きを隠せない様子だった。
ルポンの主演ありきで制作された作品(個人的意見)だっただけに、ゲインズとベナンティの受賞がそれほど意味のあるものには感じられなかったが、同じ舞台に3人の受賞者が立っているというのは、なんとも鳥肌物だ。彼らの同作への出演は9月までは予定されているので、名誉ある賞に輝いた俳優陣の演技を目に焼き付ける価値はあるかもしれない。

