ニューヨーク市民の過半数が、過去3年間で地下鉄およびバスの運行・サービス状況が悪化していると感じていることが、同市の交通状況改善を支援する団体トランスポーテーション・オールタナティブの調査で明らかとなった。
約700人の利用者を対象に行われた同調査によると、地下鉄およびバス利用者の61%が過去3年間で「運行状況が悪化した」と回答、「改善した」と答えた 13%を大きく上回った。運行頻度が減少したうえ、運行間隔が一定でなく待ち時間が長くなったこと、工事による度重なる運休、路線の閉鎖などが原因とされる。また、地下鉄L線や4〜6番線については、朝夕の通勤ラッシュ時の混雑に関する苦情が相次ぐなど、MTAのサービス悪化は深刻な問題となっている。
地下鉄、バスを運営するニューヨーク州都市交通局(MTA)は2009年以降、予算削減に伴い地下鉄2路線および市バスの36路線を撤廃する一方、運賃を段階的に値上げしている。
今回の調査を行った同団体のポール・スティーリー・ホワイト氏によると、州政府による予算削減は厳しく、MTAは近年、想定していた金額より2億6000万ドル低い予算内での運営を強いられているとのこと。「同調査による市民の声は、州政府に対しての警告である」として、同氏はは早急な状況改善の必要性を指摘した。
同州のアンドリュー・クオモ知事は、2012〜13年度の予算において公共交通機関の予算を削減する提案は行っていないが、次年度以降の動きが注目される。