米中枢同時テロで攻撃を受けた世界貿易センター(WTC)跡地に建設された9・11慰霊碑は、自殺を誘因する可能性があるとして警戒されていることが分 かった。ニューヨーク市警察庁(NYPD)のレイ・ケリー長官が、21日に発売される米誌エスクァイアのインタビューで明らかにした。
昨年9月に完成した同慰霊碑は、WTCの跡地2カ所に建物3階分の深さで掘られており、人工噴水により表面を浅く水で覆っている。
ケリー氏によると「現時点で自殺の例は報告されていないが、飛び込み自殺の可能性を十分に考慮し、既に対策を立てている」とのこと。
専門家も同慰霊碑が自殺を誘因する危険性を肯定しており、コロンビア大学のダナ・アロンゾ教授は「悲しみを克服できない遺族が当地を訪れた場合、復讐また はさらに複雑な悲嘆へと、精神状態を否定的な方向へ導く可能性がある」と指摘するほか、精神分析医のゲイル・サルツ氏は「愛する人に再会したいという意思 により自殺を働く可能性」を語った。
また同事件で息子を亡くした母親は「慰霊碑を前に自殺が頭をよぎったことがある」という。
同慰霊碑はNYPDおよびニューヨーク・ニュージャージー州港湾局(PA)により24時間体制の警備が敷かれている。