KORIN(光琳)

高級ブランドが溢れるニューヨークでも、質を見て〝本当に良いもの〟を選ぶ人が増える今日。今回は、古くから伝わる日本の良き文化が生み出す和包丁、食器、世界の調理器具など、確かな商品だけを取り扱うキッチンウエアの専門店と、その人間味溢れる魅力をご紹介。

日本が誇る〝ものづくり文化〟良質の商品と共に刻んだ30年の信頼

日本が誇る〝ものづくり文化〟を継承する職人が、丹誠を込めて造り上げた和包丁、食器をはじめ、選び抜かれた良質の商品のみを取り扱うキッチンウエアの老舗「KORIN(光琳)」。今年、創業から30年を迎える同店では、いわゆる高級ナショナル・ブランドだけでなく、時代を超えて人々に重宝されてきたこだわりの品々を、全米各地の一流ホテル、レストランや、食にこだわる一般の家庭にも提供してきた。ひとつひとつの商品を長く使えるよう、シャープニングや修理などのアフターケアも充実しており、引き出しに眠っているサビが付いて刃こぼれがした包丁も、同店の職人の手により全く新しいものに生まれ変わる。包丁の磨ぎ方を伝授するスペシャリティーも同店ならでは。使い手の信頼と笑顔のために、「KORIN」はニューヨークから日本文化を発信する。
店頭に並ぶ包丁は和包丁を中心に、その数はなんと計17ブランド、約500種類。なかでもKORINブランドの包丁は、日本を代表する伝統工芸士が丹念に造り上げた自信作で、その納得の値段と品質に心を奪われる一流シェフも後を絶たない。そのほか、テーブルに叩き付けても割れないワイングラスや各種伝統工芸品など、良質を求めるニューヨーカーをうなずかせる商品が数多く揃う。
代表取締役社長の川野作織氏は「良い商品とお客様には創業以来、常に恵まれている」と笑顔を輝かせる。同氏は販売する商品を決める際にその製作過程に着眼する。どのような人によってどういった過程で造られてきたのか。それを知ることでお客様にその商品の良さを初めて説明することができ、それを共有したい、といったこだわりを持つ。有田焼の器をひとつ取っても、自ら陶芸の専門学校を訪れ、「職人さんがすごく寒い場所でストーブを抱えながら陶器を回す様子を見に行った」のだという。同氏が選ぶ確かな商品が、人々を魅了することは言うまでもない。

地道な努力と良き出会い

丹念に包丁のシャープニングをするKORIN専属の職人

多くの信頼を得る同店の魅力は、川野氏の品質を見極める先見の明と、温かい人柄が育て上げたチームから生まれると言っても過言ではない。
そんな川野氏も初めてニューヨークに来た時は、ウェイトレスとして働きながら、生活のために日本から輸入した食器などを地道に日系レストランに売り歩いていたという。「駆け出しからの5年間の出来事は、今でも忘れられない思い出として鮮明に覚えている」という同氏は、最初は自分の好みの食器を選んでいたために、丈夫な食器が大量に必要となるレストランなどのビジネスには受け入れられなかったり、商品を輸入する際の知識不足で搬入が遅れたりもあったのだとか。失敗を繰り返しながらも、常にポジティブに解決策を考えることに集中して培ってきた努力。人との良き出会い。お客様からのサポートを頂いている実感とその喜び—。それら全てが現在に繋がっている。
「今考えると、お金が無かったために、大きな失敗をせずに済んで良かったのだと思います」と、同氏は感慨深く語った。そして、「ニューヨークにあるこの場所で、これからもビジネスを深めていきたい」と添えた。

代表取締役社長の川野作織氏

■問い合わせ
◎KORIN
57 Warren St(bet Broadway & Church St)
800-626-2172 / 212-587-7021
www.korin.com
月〜金:午前10時〜午後7時、
土・日:午前10時〜午後6時