がん死亡リスクが低減 アスピリンの常用で

 頭痛薬などに含まれるアスピリンを毎日少量ずつ飲み続けると、がんの予防につながる可能性があるとの研究結果が20日、発表された。同研究はイギリス・オックスフォード大学のピーター・ロスウェル博士などにより実施、医学誌ランセットが結果を公開した。

同研究では、毎日少量のアスピリンを3年以上服用すると、がん発症の可能性が25%低下、5年以上服用した場合は40%近くの割合でがんによる死亡率を低下させるとの結果が得られたとのこと。また、腫瘍の転移を防ぐ特質を持つ可能性もあるという。アスピリンの作用により、がん細胞が他臓器に移転することを防ぐためと見られている。

だが、ニューヨーク市レノックス病院のステファニー・バーニク博士は「アスピリンの服用は、心臓発作の防止など多数の健康的利点をもたらすが、がんの予防、治療についてはより詳細な研究が必要」と指摘した。

同研究が実施された本来の意図は、心臓病に対するアスピリンの影響を調査するためであり、がんの予防または治療についての調査は意図されたものではなかったという。バーニク博士は「アスピリンを常飲する前に、医師に確認することが必要」と警告している。