緊急避妊薬=中絶? 保守派団体ら抗議

 若者を中心に米国で広く利用されている「モーニングアフターピル」と呼ばれる緊急避妊薬について、保守派団体などから「中絶するのと同じ」という非難の声が上がり、議論となっている。

 ピルの効用について、各製薬会社が発売するピルのパッケージや米国立衛生研究所(NIH)など医学界権威のウェブサイトに「受精卵の着床を阻止する可能性」と表記されているが、科学的には立証されていない。むしろ排卵を遅らせ、頸管粘液を厚くし精子の動きを鈍くすることで、受精の機会を与えない作用がある、と分析する科学者が多い。

 モーニングアフターピルの作用をめぐり、多くの有識者らは受精を未然に防ぐ避妊と認識しているが、保守的な宗教グループや政治家たちは受精卵が人である、という考えに基づき、緊急避妊薬が子宮に着床しようとする受精卵を破壊するのならば妊娠中絶に値すると主張、販売禁止を求める声も聞かれる。妊娠中絶に反対する次期大統領共和党候補のミット・ロムニー氏も緊急避妊薬を「頓挫薬」と呼び、不快感を露にしている。