臭覚による路上飲酒判断 証拠不十分と裁決

 ニューヨーク市では路上飲酒は法律違反とされ、厳密には口を開けたアルコール類の瓶や缶を持ち歩くだけでも違法と見なされる。だが14日、ブルックリン区刑事訴訟裁判官ノーチ・ディア氏は、警察官の臭覚による飲酒判断と違反者の自供だけでは証拠不十分という理由で、路上飲酒のため拘置されていた調理師を釈放。ニューヨーク市警察庁(NYPD)検査室によるアルコール証明を物的証拠として提出するよう、条例の見直しを求めた。

 5月12日の夕方、家で紙コップにビールを注ぎ、通りを歩いていたプエルトリコ出身の調理師ジュリオ・フィグエラさんは3人の警察官に取り囲まれ尋問されたため、飲酒を自供。その後、留置所へ送り込まれた。しかしディア氏が証拠不十分と判断したため、フィグエラさんは22時間後、釈放された。

 ディア氏は、NYPDが路上飲酒と認める際に人種的差別がある可能性を指摘。特にアフリカ系とヒスパニック系男性の検挙率が白人と比べ異常に高いことを疑問視している。

 昨年ニューヨーク市の路上飲酒違反件数は12万4498件で、いずれも裁判所への出頭命令が出された。同違反の罰金は1件につき25ドルと低額だが、身元保証人が必要なため、違法滞在者の逮捕にも繋がっているものと見られる。