24日に出版された英科学誌ネイチャー・クライメート・チェンジによると、「ホットスポット」と呼ばれるノースカロライナ州ケイプ・ハテラスからボストン北部にかけた沿岸600マイルの海面が急上昇し、将来洪水地帯となる危険性が高まっているという。海洋学者アスベリー・サレンジャー・ジュニア氏は 1990年以来、地球温暖化で米北東部沿岸の海面が急速に上昇していると警告。「人口が集中するニューヨークやボストンでもすでに高潮被害が出やすくなっている」ため、早急な対策の必要性を訴える。
1990年から今日までで、地球全体の海面は2インチ上昇した。しかし、バージニア州ノーフォークでは4.8インチ、フィラデルフィアでは3.7インチ、ニューヨークでは2.8インチと、平均を大幅に上回る上昇値を記録している。
この海面上昇は地球温暖化により、グリーンランドや南極の氷床が溶けたこと、暖かい海域が広がったことなどに起因するとされる。またサレンジャー氏は、メキシコ湾流とその北部の海流速度が遅くなり、海にできた傾きのバランスを取るために、北東部海域の海流速度が上がり水位が上昇したと分析している。
2100年までには、地球規模で海面は3.3フィート上昇すると予想されるが、米北東部沿岸では3.3フィートに加え11.3〜14.3インチ上昇することが予測される。
しかし、フロリダ州立大学教授ロバート・ディーン氏は、海面上昇の地域的な違いは見られないとし、サレンジャー氏の予想に反している。