公教育における宗教の在り方に議論 知事、市長が財政負担を指摘

 私立学校で宗教教育を必要とする子どもたちの学費を公立の学校区が負担すべきだとする法案に対し、ニューヨーク州のアンドリュー・クオモ知事は拒否権を行使し、反対する強い意向を示した。

 現在の法律では、公立学校が特別教育が必要な生徒の要望に対応できない場合、生徒の保護者が私立学校の学費を公立学校区に請求できる権利が保障されている。だが、同法案には特別教育の特例を宗教教育にまで拡大する狙いがあった。

 これについてクオモ氏は、多くの生徒を私立学校へ送り、住民に不公平な多額の税負担を課すことになると主張。ニューヨーク市のマイケル・ブルームバーグ市長も同法案が市と州の財政負担になりかねないとして、クオモ氏に賛同している。

 法案を提出したブルックリン区選出下院議員へレン・ウェインスタイン氏(民主党)は、クオモ氏の拒否権を覆すため、3分の2の下院議員の賛成を得るまで断固として闘うことを宣言している。同法案の支持者らは、ユダヤ系など信仰深い宗教家庭で育った子どもは非宗教的な環境に慣れておらず、この法案は子どもたちの一般社会への協調へ欠かせないとする。

 ニューヨーク市は現在、私立学校へ通う生徒約5000人の特別教育費を年間約1億ドル負担している。