ニュージャージー州のクリス・クリスティー知事は8日、事故現場の映像を犠牲者の家族の同意なしで一般公開することを禁止する通称「キャシー法」に署名し、S199法案が成立した。これにより、違反者には最高6カ月の実刑と1000ドル以下の罰金が科せられることになる。だが、緊急救助隊に属し、公衆安全や保険などの正当な理由がある場合は、写真やビデオ撮影は認められるという条件が付く。
2009 年に同州オーシャン郡バーネガットで、キャシー・ベイツさんが交通事故で死亡した。ある目撃者がその事故現場の写真を撮り、ベイツさんの家族に無断でフェイスブックに載せるという心無い行為を取ったため、キャシーさんの母親ルシールさんが嘆願書に5000人の署名を集め議会に働きかけたことがきっかけで、同法案は検討されることになった。議会では上下院問わず満場一致で賛成となり、可決された。
同法案成立には、州上院議員クリストファー・コナーズ氏(共和党・オーシャン郡選出)をはじめ、州下院議員ブライアン・ランフ氏やダイアン・ゴブ氏(両氏とも共和党・オーシャン郡選出)の支援があった。3議員は連名で、「キャシーさんと同じようなことが二度と起こってはならない」とし、犠牲者の遺族への配慮や社会的道徳を重んじるという意味で、同法の必要性を訴えた。
高画質のカメラおよびビデオカメラが搭載された携帯電話などの普及に加え、ソーシャルネットワーキングサービスの浸透を受け、昨今では情報公開が一般レベルまで広がっている。今回の新法もこういった社会における秩序の維持という意味で設けられた。