ニューヨークでも韓国ブーム 国策奏功

 近年、ニューヨーク市の韓国系移民の増加に伴い、マンハッタン区32丁目界隈に広がるコリアンタウンの規模が拡大し、盛り上がりを見せている。
 30年前にジャブン・カクさんが、ブロードウェーと32丁目の交差点前ビルの1階に24時間営業のレストラン「カン・スー」をオープンした当初は、同地周辺には服飾店や商社など、韓国系ビジネスは数えきれる程しかなかったという。

 だが今では、同地周辺には店が密集しているため、31丁目や33丁目、もしくは5番街に押し出される飲食店やスパなどが続出している。また、カラオケ店やナイトバーなどは集客が期待できるビル1階ではなく、上層階に店舗を構えざるを得ない状況だ。

 コリアンタウンの人気上昇は商売上の競争を招くだけでなく、賃貸料の値上げにも関わっており、昨今の同エリアの価格は周辺エリアより約25%高いとされている。

 最近はアジア系の間だけでなく、ニューヨーカーの間でも韓国ブームが広まっており、料理や文化に加えポップミュージックも注目を浴びている。ポップグループやR&B歌手の台頭もあるが、特に韓国人ラップ歌手PSYの勢いには目を見張るものがある。代表曲「江南スタイル (Gangnam Style)」は動画投稿サイト「ユーチューブ」で4億回の再生数を叩き出したほか、ビルボードなどの全米チャートを賑わせている。

 これらの背景には、独自の食文化やファッション、トレンドなどを世界に広め、米国のような世界的エンターテインメント大国の構築を目指す韓国政府の思惑があると言われている。例えば、国策の一環である「豊かな食文化推進政策」では、政府が資金援助をしさまざまなイベントを実施することで、米国における韓国食文化の啓蒙を行い、奏功している。

 政府や韓国系移民のサポートを受け、今後もニューヨークにおける韓国ブームは続きそうだ。