長らく米国の教育者は、インドや中国の優秀な人材と競争しながら未来の米国を担う若者を育成するための公共教育制度の強化対策に打ち込んでいるが、連邦政府はその試験的対策の一環としてこのほど、2013年度より全米5州の公立校で、授業時間を年間300時間以上加えることを発表した。
対象となるのはコロラド、コネチカット、マサチューセッツ、ニューヨーク、テネシー州内にある公立校40校の生徒約2万人で、今後3年間にわたり試験的に導入される。
最終的には低所得者が多く住む地域の学校を中心により多くの公立学校を参加させ、生徒の学力向上や米国の公立学校のグローバル競争力向上への直結を目指す。
教育関係者によると、授業時間の増加に伴い、重要な数学と科学の授業内容を強化できるだけでなく、図工や音楽の時間もより開放的なものになる。また、授業に追いつけない生徒のための個人指導の時間を設けるなど、幅広い教育が提供できるようになるという。
同試験プログラムの実施により必要となる追加費用は、連邦や州、地方地区予算から工面される予定で、フォード基金とNational Center on Time & Learningなども資金を提供する予定。
現在、全米の約1000校がすでに授業時間や日数を増やす教育プログラムを取り入れており、09年度と比較すると53%増加している。授業時間を増やすことが全ての学校や生徒に適しているわけではないが、多くの教育関係者は米国の公共教育制度の強化に繋がるとして期待を寄せている。