今月3日にマンハッタン区内で発生した地下鉄転落死事件を受け、地下鉄の安全性への関心が高まるなか、ニューヨーク州都市交通局(MTA)は線路落下時に関する対処法を用意していないようだ。
調べによると、同事件で犠牲となった男性は線路に転落後、約1分半にわたりプラットフォームに這い上がろうとしていたが、駅構内に侵入してきた電車と壁に挟まれ、即死した。
では、不測の事態にどのように備えたら良いのか—。オンラインニュースサイト、キャピタルニューヨークの取材に応じたMTA広報のエアロン・ドノヴァン氏は、対処法について「残念ながら、そのようなものはない」と話す。
また、同じく同社広報のケビン・オーティッツ氏も、各駅の構造や路盤が違うため、適切な対処法は一概に言い切れない、と説明。しかし、乗客には「なるべくプラットフォームの端から離れて電車を待つよう心掛けていただきたい。また、線路に所持品などを落とした場合は勝手な判断で線路に飛び降りず、駅員に申し出てほしい」と話す。
米オンライン誌スレートでは、①周囲の力を借りてプラットフォームによじ上る②プラットフォーム下のスペースに逃げ込む③上下線を隔てる線路間に立つ④線路の上に横たわる、などという独自の対処法を紹介している。これらは長年にわたり最良とされてきたが、昨年、元車掌だと名乗るある人物がMTAに対し、最も良い対処法は侵入する車両から走って逃げ、運転士に大きく手を振って電車を止めることだと提案している。
調査によると、2011年にニューヨーク市内で発生した地下鉄車両と人の接触事故件数は147件で、うち50人が死亡。10年と比較して15%増と大幅増となった。