アスピリン腸溶錠の効果を疑問視 研究チーム「心疾患者への効果薄れる」

 医学誌サーキュレーションでこのほど、心臓発作や心筋梗塞の発症予防として服用されるアスピリン腸溶錠はコーティング加工が施されているため錠剤が血液に溶けるのが遅くなり、効果が薄れる可能性があるという研究結果が発表された。
 研究を行ったのは、ペンシルベニア大学のチーム。当初は血液を固まりにくくする抗血小板作用を持つアスピリンの効用が万人に有効かどうかを調べるために、健康な男女400人を対象に実験を行った。だが、胃を保護し腸内で溶けるようにコーディング加工された腸溶錠は、心臓発作や心筋梗塞の疾患者にとっては最大限の効果を発揮しない可能性があることを発見した。
 この研究結果を受けABCニュースの健康と医療の編集主幹であるリチャード・ベッサー博士は、心臓発作や心筋梗塞に見舞われた場合、血液内への抗血小板作用がすぐにでも必要になるため「胃で溶け効き目の早い通常のアスピリンが最良だが、腸溶錠を服用する場合は噛み砕いて飲み込むことが重要」と助言する。
 ただ、研究資金の一部を担ったアスピリン錠を製造するバイエル社は研究結果について、「研究対象者も実験方法も現実の服用対象者や方法と異なるため、研究結果によるアスピリン腸溶錠の効果を疑問視すべきという論文執筆者の意見は、重大な誤りである」として反論している。