米議会は2日夜に「財政の崖」回避法案を可決したが、社会保障給与税(通称給与税)の減税措置の延長をしなかったため、1月より米市民に課せられる給与税が上がる。
税政策研究をする民間シンクタンクのタックス・ポリシー・センターによると、この決定を受け米世帯の77%が増税対象となり、富裕層ほど増税率が高い。
年間所得が約5万ドルの世帯は579ドル多く納税するが、年間所得が50万ドル〜100万ドルの世帯では平均1万5000ドル多く納税しなくてはならない。
給与税はオバマ政権が低迷する米経済を回復させる政策の一環で2010年に減税され、1150億ドルの社会保障信託基金で埋められていたが、今回の減税中止で課税率が4.2%から6.2%に上がる。
年間世帯収入が12万ドル〜13万ドルであるため、1700ドル多く納税することになるコロンビア大学バーナードカレッジの事務職員エリザベス・ダフィーさん(43歳)は、「ニューヨーク市民は普段から米市民より多く納税しているため、増税は受け入れがたい」と不満を漏らす。
給与税のほかにもブッシュ政権時代に設けられた40万ドル以上の年間所得者への投資税や相続税に対する減税措置もなくなり、該当世帯の子ども一人に対し1000ドルの税金控除も撤廃される。