昨年末からことしに入り、地下鉄での人身事故が相次いで発生していることを受け、ニューヨーク州都市交通局(MTA)は1月28日、事故防止の対策強化を発表した。
具体的には、「線路にものを落とした際には勝手に判断せず、近くの車掌や駅員に相談すること」「プラットホームの端に立つのは危険」などといった注意を促すメッセージポスターを駅構内や車両内に貼り、普段から利用者に意識してもらうよう工夫。今後は、電光掲示板やメトロカードにも注意書きを載せるという。
またMTAは、車掌に線路内に人が落下したことを知らせる光を信号として送る「立ち入り発見」システムを導入する意向も明らかにした。
MTA総裁代理のトーマス・プレンダーガスト氏によると、MTAは日本や欧州の地下鉄駅で広く普及している可動式ホームドアの導入も検討しているが、構造に一貫性のないニューヨークのプラットホームへの設置は物理的にも金銭的にも難しいという。
市内468駅全てに可動式ホームドアを設置する場合、最低でも10億ドルかかるため、まずはL線上の駅に試験導入し、効果を探る。
昨年の人身事故による死者は前年より8人多い55人。事故の大半は誤って線路に落ちたか、自殺を図ったもの。故意に突き落とされたケースは全体の4%だった。