NY市民の生活苦が深刻に フルタイム労働でも“困難”

 12日に行われた一般教書演説で、バラク・オバマ大統領はフルタイムで働く労働者が貧困の中を生きざるを得ない状況を打破するために、連邦最低賃金を現行の7.25ドルから9ドルに引き上げる提案をしたが、ニューヨーク市民にとってはそれでは足りない位、生活苦を強いられている労働者が多い。

 民主主義推進団体The Center for Popular Democracy(CPD)とUnited NYが13日に発表した報告書によると、現在、市内在住の11万人以上のフルタイム労働者が貧困のなかで生活し、170万人が一家3人で年間約1万8500ドル以下の収入で暮らしているという。2007年には5.3%であった失業率も、今では9.3%にまで上昇している。

 報告書ではこれらの解決策として、最低賃金を時給10ドルに引き上げれば、フルタイム労働者は年収2万ドルを確保でき、市民の生活が改善されると提唱している。
 特に洗車場などの低賃金産業で働く労働者は、週に60時間以上働いても週給400ドル以下であることが多く、空港の警備職員の時給も8ドルに満たない。

 このような状況を受け昨年、アパレル大手アバクロンビー&フィッチを始めとする小売店やファストフードチェーンの従業員らが、賃金の引き上げを訴えるため、度々ストライキを起こしている。

 ニューヨーク州のアンドリュー・クオモ知事は1月に、最低賃金を8.75ドルに引き上げる提案をした。市議会でも昨年、市の助成金を100万ドル以上受け取っている企業に対し、従業員を時給11.50ドルもしくは福利厚生付きの10ドルで雇うことを推進する法案を可決している。