近年、睡眠不足が肥満の一因になり得ることが研究により解明されつつあるが、最新の実験で、わずか数日の間、睡眠時間を削るだけでも体重増加につながることが明らかとなった。
睡眠が不足すると、満腹感を感じるレプチンというホルモンが低下する一方、食欲を刺激するグレリンというホルモンが増加するため、食事の量が増えるうえに、その内容も炭水化物を中心とした不健康なものになる傾向があるという。
コロラド大学が行った実験では、16人の健康な男女を2つのグループに分け、1週間交代で9時間もしくは5時間の睡眠をとる生活を送らせ、その体重、行動、心理を調べた。
その結果、睡眠時間が短いグループはカロリーの燃焼量が1日平均111カロリー増加したが、同時に食生活も変化し、夕食後の間食の量が大幅に増えたほか、炭水化物の摂取量が過剰になった。
また、睡眠のリズムが体内時計に合わなくなるため、朝食の量が減少した。この結果、5時間睡眠のグループは体重が1週間で平均約2ポンド(約0.9キロ)増加した。
さらに、2週間目に同じグループの睡眠時間を9時間に延ばしたところ、1週目に増加した体重がある程度減少する傾向がみられた。実験を主導した同大学のケニス・ライト博士によれば、実験結果ほど顕著ではないにしろ、実際の生活での短期的な睡眠不足でも同様の影響が出る可能性が高いという。
睡眠と健康の関係に関しては、シカゴ大学が行った実験で、睡眠不足により脂肪細胞のインスリン認知機能が低下し、糖尿病や肥満につながりやすい状態になることも分かっている。