米国の子どもの50人に1人が自閉症を患っているという調査結果が20日、米保健研究局と米疾病予防管理センター(CDC)が共同執筆した報告書の発表によって明らかとなった。同数値は、CDCが以前発表した88人に1人という割合から大幅に増加しており、10年前の3倍にまで膨れ上がる結果となった。
同調査では2011〜12年の間に10万人の親を対象に、子どもの健康に関するアンケートを電話でランダムに行った。自閉症と診断された子を持つ親の方が、調査に応じる可能性が高いと考えられることから、調査結果の信憑性に疑問を抱く人もいる。
だが、ニュージャージー州にある小児専門病院に勤務するウデイ・メイタ医師は、「かつてより自閉症患者のための治療が増えたうえ、症状自体の認知度も社会的に高まったため、より多くの人が診断を受け入れるようになった」と指摘。その結果、「このような調査結果が出たのではないか」との見解を示している。
また別の専門家のなかには、診断技術の改善、遺伝や環境などが要因と考えている人もいるようだ。
推定値が事実となると、全米で100万人以上の児童が自閉症を患っていることになる。そのため、自閉症の専門家や疾患への理解を訴える人々は、同研究に米政府がより注目し、資金を工面するようになることを期待している。
米国では、自閉症患者とAIDS患者の数は同等とされているにも関わらず、国立衛生研究所では、HIV/AIDS関連の研究には自閉症の約10倍にあたる年間35億ドル以上の研究費が投じられている。