ニューヨーク市内のバーやレストランなど、室内の公共の場での喫煙が全面的に禁止されてから28日でちょうど10年となった。マイケル・ブルームバーグ市長は同日、マンハッタン区内にある老舗バーに登場し、自身が制定に貢献した同条例がいかに人々の健康促進やビジネスの繁栄につながっているかをあらためて主張した。
市長は「当初、禁煙法による飲食や観光産業の雇用の喪失や収入減が強く懸念されていたが、10年経った今、数字を見る限り、同条例は市内のレストランやバー、観光業にとってプラスの影響しかないことが証明された」と述べ、この10年間で新たに6000以上の飲食店がオープンしたことも付け加えた。
市長が訪れた創業121年の老舗バーのオーナー、ジェラルド・メーガーさんも初めは禁煙法に反対していたが、施行後は「店内のシャンデリアがたばこの煙で茶色くならなくなり、鏡の汚れも改善。空調設備のフィルター交換の頻度も減るなどメリットが多い」とし、今では歓迎している。
市保健局によると、10年で喫煙者は50万人減り、推定1万人の若者が喫煙による死から免れた。また、たばこを吸わない人に対する受動喫煙のリスクも減ったことが判明している。
それでもなお、予防可能な死の要因で最も多いのは喫煙によるものだった。全世界の禁煙運動に対し、6億ドルの支援金を提供してきたブルームバーグ市長は、今後も更に運動を活発にする意向を示しており、最近もデリなどでのたばこの陳列販売を禁止するほか、値引きを規制する法案を提案している。