ニューヨーク市のマイケル・ブルームバーグ市長はこのほど、同市を訪れる観光客に対し、ブッシュウィック地区をはじめとするブルックリン区の各エリアに足を延ばすよう勧める取り組みを開始すると発表した。同氏は「観光客のみなさんに、ブルックリン区の優れた飲食店や文化施設を楽しんで欲しい。まだ広く知られていないエリアに足を延ばすことで、ニューヨークならではの体験ができるだろう」と述べた。計画の対象となる地区は他に、ウィリアムズバーグやフォートグリーンなど。
ブッシュウィック地区には有名なピザ店「ロベルタズ」など話題のスポットも点在しており、先日も同店にクリントン夫妻が訪れたとして話題になった。
だが、ブッシュウィック地区は市内でも治安改善の遅れが目立つ地域としても知られている。計画の発表があった直後にも、刃物を持った男が警察に追われて廃棄車両に逃げ込み、近隣の学校が閉鎖される騒動があったばかり。周辺地域の住民からも、観光客の安全を懸念する声が上がっており、モーガン通り近くの住民によれば近所には飲食店や街灯が少なく、窃盗被害に遭ったという人も多いという。また同地区を管轄する警官も、「この地域はまだ危険。周辺の事情を把握していない観光客が来るところじゃない」と警告している。
ブルームバーグ市長は今回、タイムズスクエアやエンパイアステートビル、自由の女神像などおなじみのマンハッタン観光だけでなく、“リアルに生きるニューヨーカー”の姿が垣間見えるとして新たな観光地の提案に踏み切ったが、多くの観光客に慣れ親しまれるまでにはまだまだ時間が掛かりそうだ。