2011年にマンハッタン区の金融街で勃発した反格差社会デモ「ウォール街を占拠せよ(OWS)」をめぐり、デモ隊らが警察に所有物を押収または破損されたとしてニューヨーク市に賠償金を求め起こした3件の訴訟で、ニューヨーク市は9日、35万ドルの賠償金を支払うことに合意した。
11年11月15日、OWSの活動が激化したことを受け、ニューヨーク市警察庁(NYPD)はデモの本拠であるズコッティ公園を連日占拠するデモ隊の強制退去に踏み切った。NYPDは26台のトラックを用意し、電子機器や書籍、自転車など、園内に持ち込まれたデモ隊の所持品を押収、破棄した。
関係筋によると、今回の訴訟で最も高い賠償金を得たのは、原告で公民権を専門とする弁護士のノーマル・シーゲル氏で、その値は約18万6000ドル。同氏は園内に簡易図書館「ピープルズ・ライブラリー」を設置し、約3600冊の書籍を一般開放していた。うち1000冊は市衛生管理局から返してもらったが、その中の約200冊は処分せざるを得ないほど傷んでいた。
ほかの件では、占拠運動のライブ映像をオンライン上で配信していたグローバル革命テレビの破損した電子機器に対し、7万5000ドルの賠償金が承認された。また、環境保護団体タイムズアップの破損した自転車に対しては、8500ドルが支払われることが決定した。
OWSは米国内の貧富の格差や行き過ぎた資本主義に抗議する目的で11年9月にニューヨーク市の金融街で始まったが、若者を中心にその動きは世界各国にまで広がった。