ニューヨーク市で「低賃金労働」に携わる人の数が増え、その割合は市内人口の3分の1以上に上ることが、新たな調査で判明した。低賃金労働とは、時給12.89ドル未満、年収にして約2万7000ドル未満の労働を指す。
シンクタンクのセンター・フォー・アーバン・フューチャーがこのほど発表した調査結果によれば、2007年には約31%だった同市の低賃金労働者の割合は、現在35%まで上昇している。なかでも、ブロンクス区ではこの割合が47%に達し、約半数の人が低賃金労働に携わっている実態が明らかとなった。
低賃金労働の増加の原因としては、市内の求職者が増えたことが挙げられる。人口増加に伴い、低賃金ではない求人も増加しているものの、その多くが大卒以上の資格を条件としているため、条件に満たない求職者が低賃金労働に流れている。
さらに最近では、これまで高卒者にとって「中流階級」への入口として一般的だった製造業や秘書サービス、自動車修理といった労働分野で、より高い学歴が求められるようになっており、結果として食品サービスや小売、セキュリティーなどの低賃金労働市場の競争率が高まっている。