米中枢同時テロで倒壊した世界貿易センター(WTC)跡地に再建中のワン・ワールド・トレード・センター(1WTC)では、完成予定まで残り18カ月に迫った現在も、全テナントのうち約半分は入居者が決まっていない状態となっている。その一方で、開発業者や専門家らは、今後のリース契約に楽観的な見通しを持っているようだ。
ニューヨーク・ニュージャージー州港湾公社(PA)の管理委員会と共に1WTCの開発を行うダースト・オーガニゼーションの広報担当者は、入居予約状況について「1WTCは、規模、スケールともに他に類を見ないビル。完成までに多くのリースを見込んでいる」とし、メディア、金融、テクノロジー分野の企業などから問い合わせを受けていることを明らかにしている。
また、都市計画の専門家であるハンター大学のマシュー・ラスナー助教授によれば、1WTCが位置するロウワーマンハッタンは法律事務所や金融機関が多いことで知られているが、最近はより幅広い分野の企業が同地域に関心を示しており、これらが1WTCのリースを後押しすることも予想されるという。
さらに別の専門家は、1WTCへの入居希望者の多くは実際のスペースを確認してから契約することを望んでおり、今はビルの完成を待っている状態であると分析している。
すでに入居が決定しているのは、米出版大手のコンデナスト社、米連邦政府機関、中国の投資グループであるバントン・チャイナ・グループ、エンターテインメント大手で1WTCの展望台を管理するレジェンズ・ホスピタリティ・グループの4団体で、これらが全体のスペースの55%を占めることとなる。