米国心臓協会(AHA)はこのほど、2010年に230万人の米国市民が塩の摂取過多が原因とされる心臓発作や心臓病などの疾患により死亡していたと発表した。同数値は全世界の同原因による死者数の15%に当たり、米国市民の10人に1人が塩分の摂り過ぎで死亡したことになる。
AHAによると、90%の米国市民が1日平均3.4グラムの食塩を摂取しており、塩分過多に陥っている。心臓外科医のエリサー・グズマン氏は、塩分の摂り過ぎは血圧の上昇につながるほか、心臓の機能低下を引き起こすため、「炭水化物や脂肪の過剰摂取よりも危険」と警鐘を鳴らす。
米疾病対策センター(CDC)所長のトーマス・フリーデン氏は、「1日の塩の摂取量は本来1.5グラムが妥当だが、摂取元の80%は日々われわれが利用する外食や加工食品などの見えないところですでに含まれているので、減塩は難しい」との見解を示す。また同氏は、「脂肪分や糖分カットの表示がされている食品の多くは、塩分を増加することによって味の調整をしているため、さらに注意が必要」と言及した。
事実、塩は食パンやスープ、ピザ、チーズ、シリアルなど、毎日何気なく食べている食品に多く含まれており、「食品産業および外食産業が連携し、減塩対策に取り組む必要がある」とフリーデン氏は指摘する。