人気コーヒーチェーン、スターバックスのチップの分配をめぐる2つの裁判がニューヨーク州で行われ、注目を集めている。判決によっては、州内のホスピタリティ業全体、および全国のスターバックス店舗でのチップ分配に影響が及ぶ可能性がある。
この訴訟は、バリスタ(カウンターで会計やコーヒーの提供を行う従業員)が顧客から受け取るチップの分配法をめぐって、バリスタおよびアシスタントマネジャーがそれぞれ同社を訴えているもの。
スターバックスの現行システムでは、「シフト・スーパーバイザー」と呼ばれる従業員とバリスタとの間でチップが分配されているが、バリスタ側はこれが州法に違反するとして改正を求めている。
ニューヨーク州法では管理職がチップを受け取ることは禁じられているが、シフト・スーパーバイザーの職は実質的に管理職に当たるというのがその理由だ。尚、シフト・スーパーバイザーはバリスタとアシスタント・マネジャーの中間にあたる職で、シフトの管理や休憩時間の管理を行い、バリスタよりも高い報酬を受け取っている。
一方、アシスタント・マネジャーは現行システムでは管理職扱いとなり、チップ分配の対象外となる。しかし同職に就く従業員らは、職務内容は主に顧客の対応で、雇用や解雇の権限はないことから、管理職には当たらずチップの分配を受け取る権利があると主張している。
米連邦控訴裁判所は5月28日、州控訴裁判所に対しこの2件の裁判について同州労働法の解釈を明確にすることを求めた。争点となるのは、管理職の定義およびチップ分配の範囲を決定する権限が雇用主にあるか否かの2点だ。
連邦裁裁判官のうち1人は「シフト・スーパーバイザーは管理職には当たらない」とする結論を出しているほか、別の裁判官も「雇用主は、権限のある従業員全員にチップを分配する必要がない」と明言している。しかしアシスタント・マネジャーの扱いについては、州法解釈をめぐるニューヨーク州の結論が待たれている。