“グリーンキャブ”誕生へ マンハッタン区以外の交通便利に

 ニューヨーク州控訴裁判所は10日、ハイヤー(リブリーキャブ)がニューヨーク市内で流し営業を行うために必要な免許証(メダリオン)をあらたに1万8000件追加することを認めた。これにより、マンハッタン区北部および同区以外の市の行政区におけるタクシーサービス環境が大幅に改善されることになる。
 今回、メダリオンを取得したハイヤーは、マンハッタン区以外のサービス強化を図るという意味を込め、通称「アウターボロータクシー」と呼ばれる。また、イエローキャブと差別化を図るために、車体がアップルグリーンに統一されることが義務付けられるため、「グリーンキャブ」とも呼ばれる。
 グリーンキャブはマンハッタン区東96丁目以南、西110丁目以南(セントラルパークを挟むため)で客を拾うことはできないが、客を乗せてその地域内へ運ぶことは許される。営業を許可される地域は通常イエローキャブがあまり行きたがらない、マンハッタン区以外の行政区が中心となる。
 グリーンキャブへの変更申請は11日から受付開始となるが、申請するハイヤーは3年間の許可証費1500ドルのほか、料金メーター、クレジットカードリーダー、屋根のランプの設置が必要。また許可地域以外に侵入した場合には自動的にリーダーが機能しなくなる特殊なGPSを取り付けることも求められる。
 同市のマイケル・ブルームバーグ市長と市側はこの決定を歓迎しているが、市タクシー連盟側は変更にかかる高額の費用(推定1万ドル)が払える個人ハイヤーは少ないと予想している。
 ニューヨーク市ではこれまで、イエローキャブ以外のタクシー(ハイヤー)は路上で客を拾って乗せることは禁止されていたが、イエローキャブの大半がマンハッタン区または空港で乗客を乗せており、それ以外の場所でキャブを捕まえるのは困難なほど、タクシー不足が深刻な問題となっていた。また、乗車率の悪いクイーンズ区やブルックリン区などへの送迎をしたがらないイエローキャブも多いため、今回承認された新たなタクシーサービスにより、市民の生活の利便性が向上されることになる。