「ストップ! 偽ブランド品」 取締強化に向け公聴会

 ニューヨーク市は数年前から、高級ブランドの偽造品の販売取り締まり強化を積極的に進めている。先陣を切るマーガレット・チン市議会議員は、偽造品の販売者だけでなく購入者も罰せられる内容の条例案を市議会に提出しており、その審議のための公聴会が13日、市内で行われた。
 この条例案は、偽造品を購入した人が1000ドル以下の罰金または1年以下の懲役を課せられるというもの。チン議員は公聴会で、特にマンハッタン区のチャイナタウンを中心とした偽造品販売のまん延により、年間10億ドル以上の税収入が失われていると指摘。条例の導入により偽造品の需要縮小が期待できると主張した。
 だが、市民や観光客からは不安の声も寄せられている。チャイナタウンで買い物を楽しんでいた観光客の一人は、「どの商品が違法なのか、何を買ったら罰金を課せられるのか、消費者には分からないので不安だ」と話した。また、同地域で許可を得て路上屋台を経営している業者は、「罰金を課せられたら、消費者はそのエリアでは二度と買い物をしなくなる。地域全体を悪者扱いするばかげた条例だ」と語った。
 チャイナタウンの偽造品販売業者らは通常、ロレックスやプラダ、シャネルなどのブランド名を語って路上で客を呼び込み、興味を示す人がいると店の裏部屋や近くのアパートの一室、乗用車の中などに誘導するという。客が写真を見て商品を選ぶと、数分以内に仲間が偽造品を持って現れ、無地のビニールバッグなどに入れて手渡すという仕組みを取っている。本物であれば2000ドル以上する商品の偽造品が、20ドル程度で取り引きされているという。