中東組織がエンパイアの買収申し出 21億ドルを提示

 ニューヨーク市を象徴する超高層ビル「エンパイアステートビル」を現金21億ドルで買い取りたいとする申し入れが24日、同ビルを所有するマルキン・ホールディングスに提示されていたことが分かった。買取案を出しているのは中東を拠点とする組織で、詳細は明らかにされていない。
 マルキン・ホールディングスは、エンパイアステートビルを中心とする約20の不動産物件を不動産投資信託としてまとめ、新規株式公開(IPO)を実施する計画を進めており、5月末には反対派株主らからも合意を取り付けていた。
 一方で6月19日になって、不動産投資家のルービン・シュロン氏が同ビルのIPO阻止に向け、現金20億ドルでの買収案を提示。契約時には払い戻し不可の預入金5000万ドルを支払うことを申し入れた。
 今回、中東の組織から出された新たな申し出は、この金額を上回るものとなる。
 買収計画を仲介する大手不動産業者フィリップス・インターナショナルによれば、同組織は今後、シュロン氏との入札合戦に積極的に応じる構えだという。なお、同組織はイスラム教とは関連がないとされている。
 IPOに反対する株主らはマルキン・ホールディングに対し、これら2件の買収案を真剣に検討するよう要請している。IPO反対派の代表弁護士は、「株主らは所有株式の公開よりも、現金での売却を望んでいる」としている。