ニューヨーク市に住む成人で糖尿病と診断されている人の数が約65万人に上り、過去10年間で倍以上に膨らんでいることが分かった。これは市内人口の10.5%にあたり、同市民の10人に1人が糖尿病患者という危機的な状況に陥っていると言える。
発表を行ったニューヨーク市保健局(DOH)によると、脂肪の多い食事や甘味飲料の取り過ぎによる肥満急増が主な原因となっている。また同市内の罹患率は全国平均の9.2%を大きく上回っており、うちヒスパニック系が14%、アフリカ系が13.9%、アジア系が12.6%を占めているのに対し、白人の割合は6.3%で人種的な偏りが目立つほか、貧しい地域での罹患率が高いことも判明した。
米国糖尿病協協会は、昨年ニューヨーク市で糖尿病の治療にかかった年間費用が約165億ドル、さらに生産性の低下など間接的に発生したコストは50億ドルと算出している。また同協会によれば、増加傾向がこのまま続けば2050年までに市民の3人に1人が糖尿病患者になると警鐘を鳴らす。
ニューヨーク州下院健康委員会会長のリチャード・ゴットフライド民主党議員はこの事態について、「食品業界が膨大な量の塩分および砂糖を含む加工食品を普及させ、人々の食生活が劇的に変化したことが大きな原因だ」と述べた。