ニューヨーク市の元著名弁護士が大手ヘッジファンドからおよそ4億ドルを騙し取った詐欺事件に関して、米連邦地検は12日、詐欺の首謀者であるマーク・ドレイアー受刑者が所有していた近代芸術の絵画作品18点が、被害を受けたヘッジファンドに引き渡されたことを明らかにした。作品の中には、アンディ・ウォーホルやマーク・ロスコ、ダミアン・ハーストら著名芸術家のものも含まれ、総額は3300万ドルに上るという。
ドレイアー受刑者は2008年、偽の約束手形を売るなどして、ヘッジファンドから多額の金を騙し取ろうとした疑いで起訴された。その後、マネーロンダリング、証券詐欺などの罪で懲役20年の有罪判決を受け、現在は服役している。
ニューヨークを拠点とするヒースフィールド・キャピタルは一連の詐欺事件で最大の被害を受けたヘッジファンドのひとつで、ドレイアー受刑者は同ファンドとの間で自身が所有する芸術作品を担保として詐欺契約を結んでいたという。これについて連邦地裁はことし7月、同ファンドの担保所有権を認める判決を下していた。
ドレイアー受刑者は、騙し取った巨額の金の大部分を現代アートのコレクションや別荘、ヨットなどに費やしていたことが分かっている。
米連邦保安局によれば、今回引き渡された芸術品にはウォーホルの代表作の一つ「ジャッキー」などが含まれているという。