真に誇るべきは「思いやり」という技術 日本とその未来を語った内田忠男氏

終始わかりやすく美しい日本語で語った内田忠男氏=22日(photo: Koike)


 国際ジャーナリストで名古屋外国語大学・大学院客員教授の内田忠男氏による講演会「日本最新事情〜日本は復活できるのか!?〜」が22日、マンハッタン区のジャパン・ソサエティーで開催された。同氏は日本の政治や経済について、「日本が世界に誇れる本当の技術は、他者への『思いやり』だ」と思いを込めて熱く語った。
 同氏は「日本は、外交が下手。だが、ここまで誠実に生きて来た国、国民はどこを探してもそんなにいない」と持論を展開。その例として水、大気、自然などを破壊しない技術、環境に優しい省エネルギーの技術、危険な仕事をこなすロボットの技術、高齢者とその家族を助ける介護の技術、人を楽しませるアニメーションの技術など、「クール・ジャパン」の神髄を挙げた。
 また、東日本大震災で辛い暮らしや気持ちにじっと耐える被災者についても「そんな民族がいますか? この美徳を私たちはもっと誇ってもいい。日本という国にもっと自信を持つべき」という同氏の問いかけに、会場を埋めた人々は深く頷いていた。
 歴史認識や原子力発電に対する会場からの質問に対しても、同氏の返答は毅然として明快。「はっきりとしていて、気持ち良かった」「これからは、日本人であることにもっと誇りを持って生きていきたい」という感想があちこちで聞かれ、講演後のレセプションでは同氏と直接話したいという人の長い列ができた。
 「日本に対し憂いていることは?」という弊社のインタビューに、同氏は「若者の出不精」と答え、家からも、親元からも、日本からも出ることなく、リスクを負わずに生きようとする若者を危惧した。