ニューヨーク市では昨年以降、学校外で補習サービスを提供する「テスト対策業者」の需要が急速に高まっている。その背景となっているのが、ニューヨーク州の公立学校(幼稚園から12歳まで)が昨年から導入した米国の全国共通学力基準「コモン・コア」だ。以前と比べ難易度が格段に上がったカリキュラムへの不安が広がる中、こうしたサービスを利用し、講習やマンツーマン指導を受け弱点補強に励む生徒が増えているという。
コモン・コアは読解力や問題解決力などの育成を目的に国語と算数・数学の両分野で導入された学力基準で、テストの点数がこの基準に満たない場合、生徒は夏季の特別講習受講が義務付けられる場合があるほか、落第や進学にも影響が出る。
市内のテスト対策業者らはこれを受け、コモン・コア基準に焦点を絞った弱点診断テストや補習授業、有名大学卒業生による家庭教師サービスなどを展開。市内の某業者では受講者が急増したため、教室の数を30カ所から60カ所に倍増したほか、ことし中に講師をあらたに70人雇用するなど大きな反響を呼んでいる。
この背景には、新基準導入に伴う教育現場での対応の遅れや教員の訓練不足などの問題がある。教員からは新基準テストのために授業が思うように進められないと嘆く声も上がっており、新制度との足並みが揃っていないのが現状だ。
民間業者の補習サービスは弱点診断テストの受験料が1回約100ドル、家庭教師は最低でも1時間50ドルと費用がかさむものの、生徒や保護者にとっては頼みの綱となっているようだ。