第29回 「The MasalaWala」

インド料理って、こんなにお洒落で楽しい!

 NYで食べられない料理はない。ヨーロッパ、南米、中東、そしてアジア──ありとあらゆる地域の料理を味わうことができるのは、ここで暮らす楽しみのひとつでもある。
 オープンして間もなく2年になる「マサラワラ(The MasalaWala)」を知れば、間違いなくインド料理に対する概念は変わる。「インド料理って、こんなにお洒落で楽しいんだ!」と思うに違いない。

家族で店を経営しているマズムダー親子

 NYPDを定年退職した父親が息子と一緒に始めたこの店の名は、「スパイスの商人」という意味を持つ。わずか28席の小さな店内。チョコレート色に統一され、洗練されていながら温かみも兼ね備え、程よいバランスを感じさせる。
 「自分が生まれ育ったインドの村やストリートの味、それにホームメードにこだわった」と、店を切り盛りしているまだ若い息子は教えてくれた。礼儀正しく人の話をよく聞き、快活で気配りのできる同氏の人柄も、この店の心地よさのひとつとなっている。

 少し酸味のある炒飯「Bhel Puri(6ドル)」、まるで酢豚のような「Kolkata Gobi Manchurian(8ドル)」、揚げた春巻きを思わせる「Mumbai Samosa(6ドル)」、柔らかくて食べやすい「Lamb Kakori Kebab(17ドル)」、中はふっくらとしたタンドリーチキン「Chicken Tikka(15ドル)」など、メニューにはバラエティーに富んだ前菜が並び、どれも驚くほど日本人の口によく合う。

 メーンディッシュのカレーには、脱帽。ラム、チキン、エビ、サーモン、なすなどさまざまな種類があるが、どれひとつとして同じ味はない。香辛料が生み出す味の深みとまろやかさに、インド料理の奥深さを知る。焼きたてのナンもついつい手が伸びてしまう美味しさで、「Fresh Garlic Naan(3・50ドル)」は特におすすめだ。
 新鮮なマンゴーの香りと味が楽しめるドリンク「Mango Lassi(4ドル)」はもちろん、忘れず必ずオーダーしたいのがホームメードのインディアン・アイスクリーム「Mango Kulfi(4ドル)」「Pistachios Kulfi(4ドル)」。粘り気がありしっかりとした食感と濃厚な味は、もう病みつき。「Masala Chai(3ドル)」は、世界中を旅した味にうるさい雑誌編集者やグルメブロガーに「NYナンバーワン!」と言わしめた味だ。

カレーはもちろんだが、このアイスクリームを食べる ためにぜひ出掛けたい Mango Kulfi(4ドル)と Pistachios Kulfi(4ドル)

 小さな店だがぜひ4~5人で出掛け(予約がおすすめ)、いろいろなメニューを食べ比べて欲しい。バリエーションの豊かさと味の深さはもちろん、鍋や中華をみんなでワイワイ分け合って食べるような楽しみ方がインド料理にもあることに──きっと気づくに違いない。

*写真は、テイスティング用のため実際のメニューの量とは異なる場合があります。

The MasalaWala
179 Essex St(bet East Houston & Stanton St)
212-358-9300
www.TheMasalaWala.com

ランチ:12pm~4pm
ディナー:4pm~0am
ハッピーアワー:4pm~6:30pm
(ビール3ドル、ワイン5ドル、ボトルワイン40%OFF)