低所得者向け住宅の家賃値上げへ NY市、高齢者住人が決起

 ニューヨーク市住宅局はこのほど、低所得者向け住宅(NYCHA)とセクション8の家賃値上げを検討中であると発表した。連邦政府の予算削減の一環として、市の住宅プログラムに対する援助が昨年度大幅に削減されたため、同局は現在厳しい財政状況にある。
 住宅局側は、NYCHAおよびセクション8には必要以上に広い間取りに住む人が多く、主に2ベッドルーム以上の住宅の家賃を値上げすることで、連邦政府からの援助削減分を補いたい、と今回の値上げ案を説明している。
 これに対し住人の多くを占める高齢者は、ワンルーム(スタジオ)への引っ越しを危惧し、反対の声を上げている。
 ある住人は夫を亡くした後、2ベッドルームから1ベッドルームへ移ったのに、今度さらに狭いワンルームへ引っ越さなければならないのか、と不安をあらわにする。住人団体では弁護士を雇い、さらに主張を続けるとしている。
 セクション8は連邦住宅土地開発省による低所得者向け家賃援助プログラムで、住人は民間住宅の家賃の一部を収入に応じて支払い(平均30%)、差額は政府から支給されるというもの。市側は、家賃値上げによる増収をセクション8の削減分に充てることで受給者数を維持したいとして、住民の理解を求めている。