警官の発砲で市民16人死亡 12年度のNYPD報告書

 ニューヨーク市警察庁(NYPD)が19日発表した報告書によると、2012年度に警察官による発砲で死亡したニューヨーク市民は16人で、前年同比78%増であったことが分かった。またこの間の警官の死亡者はいない。
 この16人の中には、昨年2月に亡くなったラマリー・グラハムさん(当時18歳)も含まれている。グラハムさんは違法薬物所持の容疑で警察官から追跡され、逃げ込んだ祖母宅で警官に射殺された。
 グラハムさんは当初、銃器を所持しているとの情報もあったが実際は所持していなかったため、警官の必要以上に攻撃的な行為を疑問視する抗議デモが市内各所で行われる事態にまで発展した。
 また同年、警官による発砲に巻き込まれた市民は10人で、うち9人は同年7月、マンハッタン区のエンパイアステートビル付近で起こった発砲事件で負傷している。
 NYPDのレイ・ケリー長官はこの事件に関し、「誰かが銃を向けていると分かれば、警察はそれを阻止するために発砲せざるを得ない」と正当性について説明した。
 一方、今年度にニューヨーク市内で警官の発砲により死亡した人は21日現在7人で、過去40年間で最も少ない。また、殺人事件により死亡した人数も同様に、今年度は過去最低を記録している。