米連邦最高裁判所は11月26日、オバマケアの下で義務付けられている避妊薬の保険適用に対し、雇用主である企業が宗教上の理由から意義を申し立てた裁判について、審議を行うと発表した。
オバマケアでは予防医療の無償提供を重視しており、企業が提供する医療保険の適用項目に、がん検診や避妊薬などを含むよう義務付けている。これに対し、宗教上の理由から避妊を容認しない経営者らが制度適用の差し止めを求め、裁判を起こしている。
今回審議の対象となるのはそのうちの2件についてで、双方ともキリスト教の信者である経営者が、避妊薬の保険適用は自らの信教に反するとして、適用義務の免除を訴えている。争点となっているのは、宗教の自由を定めた1993年法あるいは憲法修正第一条が、個人ではなく営利企業が信教の自由を主張する場合にも適用されるのかの判断。
一方、女性の権利擁護団体The National Women’s Law Centerの代表は「新医療保険制度に予防医療として避妊薬が含まれたことは大きな進歩で、長年にわたって女性の性と生殖に関する権利を求め戦ってきた末の勝利」と述べ、避妊薬が誰にでも無償で提供されることを歓迎している。
最高裁はこの2件について、来年3月下旬に審議を開始し、6月に判決を下す見通し。