脱線事故の被害者が提訴の準備 メトロノース鉄道相手取り

 1日に発生したメトロノース鉄道脱線事故の被害者のうちの2人が、同鉄道を提訴する意向であることが明らかとなった。2人は提訴に先駆け、損害賠償権を保全するための事故通知書をすでに提出している。
 4人が死亡し、60人以上が負傷した同事故は、運転手の居眠りが原因とされているが、ニューヨーク州法では過失訴訟の場合、事故を起こした個人ではなく、企業を被告とするよう定めている。
 会議に出席するため乗車しており、事故に遭遇した元陸軍大佐で歯科医のデニス・ウィリアムスさんは、横転した車内で約1時間身動きが取れず、脊椎、鎖骨および肋骨を骨折したとして、メトロノース鉄道を業務上過失傷害で提訴する意向を示した。
 またエドワード・ラッセルさんは、事故による怪我で休職した間の所得補償と合わせ、怪我による就労能力の低下、外傷後ストレス反応につき1000万ドルの懲罰的損害賠償を求める意向。
 2008年に制定された鉄道安全性向上法は、15年までに全米の鉄道に無線列車制御システム「ポジティブ列車制御(PTC)」を導入することを定めており、ニューヨーク州都市交通局(MTA)は09年よりロングアイランド鉄道とメトロノース鉄道で導入作業を開始。だが、これについての多くは開発途上で、期限内の完成は困難とされている。
 国家運輸安全委員会の役員は、「PTCがあれば、脱線事故を回避できたかもしれない」と語っている。