17日午前9時半ごろ、マンハッタン区ハーレムの地下鉄125丁目駅で、視覚障害のある男性と介助犬が線路に転落したが、居合わせたニューヨーク州都市交通局(MTA)職員の的確な指示により無事生還。ニューヨーク市の地元紙などは介護犬の忠実な姿勢にも注目し、「奇跡の生還」として大々的に取り上げた。
事故に遭ったのは、ブルックリン区在住のセシル・ウィリアムズさん(61歳)。介助犬のオーランドと駅のプラットフォームを歩いている際にめまいに襲われ、線路に転落した。その時オーランドはしきりに吠え、転落しないように注意を促していたという。
目撃者によると、ウィリアムズさんが転落した直後に列車が勢いよく駅に入ってきたが、現場近くに居合わせたMTAの工事作業員が、ウィリアムズさんにまず寝そべり、頭を深く伏せるよう大声で指示したという。
プラットフォームにいた他の利用者たちは、近づいて来る列車の運転士に緊急停止の合図を送ったが間に合わず、列車はウィリアムズさんを1両半分ほど通り過ぎたところで停止した。
その後、消防隊が駆けつけウィリアムズさんとオーランドの無事を確認、車両の下から救出した。転落から救出されるまでの間、オーランドは一度も逃げようとせず、目の不自由なウィリアムズさんをかばうように側から離れなかったという。
オーランドはウィリアムズさんの介護犬として長年飼われていたが、間もなく現役を引退する。ウィリアムズさんの保険では介護業務を行わないペットの飼育料金がカバーされないため、オーランドを手放さざるを得ないと思われたが、今回の事故を受け、感動した人々が基金を立ち上げ、ウィリアムズさんが“命の恩人”と今後も一緒に生活できるよう資金を集め、早くも18日には目標金額に到達した。