宿泊費が高いことで知られるニューヨーク市で、市内のホテルに課される「宿泊税」の取り扱いを巡り混乱が起こっている。
同市ではこれまで、宿泊費に対し5.875%の宿泊税を課してきたが、この税率を定めた法律が11月30日で失効したことから、法的には同日付で税率が5%に引き下げられることとなった。
ところが、市の公式ホームページにはこの日を過ぎても従来通りの税率が掲載されており、今月10日に報道関係者が問い合わせるまで修正されなかった。
さらに、同市のマイケル・ブルームバーグ市長がこれまでの税率維持を主張していることから、失効後も多くのホテルが従来通りの税率を適用していることが分かっている。同氏は、従来の税率を12月1日まで遡って適用する内容の法案も提出している。
ホテル業界では、どちらの税率を適用するべきかを巡って混乱が起きているが、施設の税務担当者からは「市の税務局に直接問い合わせたところ、従来の税率を用いるよう指示された」という声も聞かれる。
また、来年1月から政権を引き継ぐビル・デ・ブラシオ次期市長の予算案は従来通りの宿泊税率を前提としているため、最終的には税率の適用期間が延長されるものとみられている。
ホテル業界からは、「宿泊税の引き下げを実施しなければ、観光産業の振興の妨げになる」という声が上がっているものの、情報筋によれば、デ・ブラシオ氏は「従来通りの税率は市の税収確保のために必要で、観光産業に悪影響はない」との立場を取っているという。