ニューヨーク州最高裁は18日、世界最大のたばこメーカーであるフィリップ・モリスに対し、肺がんなどの兆候が見られない喫煙者に、医療検査などの費用を支払う必要はないとする判決を下した。
この裁判は、過去20年以上にわたり同社の商品であるマルボロを愛煙してきたニューヨーク州在住の3人が同社を訴えたもので、肺がんの早期発見を目的とした医療検査プログラムを司法当局の監督のもと実施し、その費用をフィリップ・モリスが負担するよう要求していた。
原告の弁護人は、マサチューセッツ州ではこの医療検査プログラムが実施されたことを指摘し、「ニューヨーク州でも同様の成果を達成し、肺がんのリスク増加を監視して生存の可能性を高めることが目的だった」とした。
最高裁は、「検査プログラムの実施を求める訴因の正当性は否定しない」としながらも、「今回の訴えを認めた場合、未発生の損害に対する賠償を求める人が大幅に増えることが予想される。また、今回のようなケースが成立するようになれば、実際に発生した損害に対する保障金の額が低くなる恐れがある」と説明している。