米中枢同時テロで出動した後に精神障害になったなどと偽り、社会保障制度による給付金を騙しとったとして、米司法当局は7日、ニューヨーク市警察本部(NYPD)の元警官72人と、市消防局(NYFD)の元消防士8人を逮捕した。米紙ニューヨーク・タイムズなどが報じた。
起訴状によると、元警官らは職務により生じた重篤な精神障害により再起不能となったと虚偽の申告をし、1年に3万〜5万ドルの給付金を不当に受け取っていた。その多くは米中枢同時テロへの対応による、心的外傷後ストレス障害、不安神経症、鬱病などの症状を訴えていた。
だが、ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)のフェイスブックなどのサイトからは、水上スキーを楽しんだり、ヘリコプターのパイロットや拳法の指導者として活躍している元警官らの写真などが見つかっており、これらが証拠として提出された。
マンハッタン地区検事局は106人に対し起訴状を発行したが、そのうち弁護士のレイモンド・ラバリー被告(83歳)、年金コンサルタントのトーマス・ヘイル被告(89歳)、NYPD刑事労働組合役員のジョン・ミナーバ被告(61歳)、元警官ジョセフ・エスポジト被告(64歳)の4人が指南役となり組織的に不正を行ったとして、第1級および第2級重窃盗罪などで起訴した。
4人は1988年から、保険加入者に保険金が下りやすくなる虚偽の精神状態の申告方法などを指導していた。