WTC周辺住人が市を提訴 「警戒が厳し過ぎて不便」 と


 世界貿易センタービル(WTC)周辺の住民および周辺に勤務する労働者の団体を代表する弁護士が9日、2001年の米中枢同時テロ以降の同地区の警戒態勢が厳し過ぎて生活に支障をきたすとして、マンハッタン区高位裁判所に申し立てを行った。
 昨年11月、同地区周辺の住民や労働者14人で構成された団体は、市が4000万ドルを費やして行っている同地区での安全対策につき、市および市警察本部(NYPD)、ニューヨーク・ニュージャージー州港湾局(PA)を相手取り、訴訟を起こした。
 原告側の弁護士ダン・アルターマン氏によると、テロ攻撃の標的となったWTCを囲むグリニッチやフルトンなどの4つの通りには、バリケードと検問所が設けられた。さらに同氏は、車両が通行する際には証明書の呈示が求められ、それが慢性的な渋滞を引き起こしていると指摘する。だが、これまでに道路を閉鎖しなければならない安全保障上の問題は一切起きていないという。
 同地区在住のある男性は、「車での来客や届け物があっても、家にたどり着くまでに1時間を要する」と苦情を訴えている。一方、市の代理弁護士は、同計画は二度と惨事を繰り返さないため、不審車両がWTCに近づくのを防ぐ目的で行われていると主張。裁判官は判決を下す前に実際に現場調査を行うと約束したものの、この緊急申し立てについては、既に却下している。