第36回 El Maguey Y La Tuna

気さくな笑顔と心のこもったサービス
     そしてファミリーによる手作り料理

 「食べられないものはない」と言われるほど、世界中のさまざまな料理が味わえるニューヨーク。そんな中でも街を歩いていると、アメリカンやチャイニーズと並んで多く見られるのがメキシカン・レストランではないだろうか。気軽に食べることができ、米や豆もふんだんに使われているため、ニューヨークで暮らす日本人の中にも結構ファンは多いはず。ただ、「美味しいメキシカンを知っているか?」と聞かれて「知っている!」と胸を張ることのできる日本人は少ないのでは…。

揚げた魚が包まれ、サワークリームを付けて食べる「Tacos De Pescado」(13.95ドル)

 ここ「El Maguey Y La Tuna」は、ブルックリンのウィリアムズバーグで10年、そして近頃特に個性的で美味しい店が数多く見受けられるマンハッタンのダウンタウンで10年、看板を掲げてきた。メキシコの田舎町のレストランをイメージした店内は決して広くはないが、所狭しと45組のテーブルと椅子が並び、壁にはメキシコ産の焼き物の皿や壺が飾られ、陽気なメキシカン・ミュージックが流れている。気さくな笑顔と心のこもったサービスで店を切り盛りするマリアさんと、キッチンで腕を振るう彼女の両親のとてもアットホームな店だ。

海老や魚、野菜などと5種類の香辛料で作られた深みのあるソースでいただくやわらかチキン「Mole de 5 Chile」(16.95ドル)

 マリアさんによれば、「ニューヨークにはそれはそれはたくさんのメキシカン・レストランがあるけれど、冷凍のソースや食材を使っている店がほとんど。でもうちは、ソースやペストリー、サングリアもみんな手作りなの!」とのこと。料理の要であるソースは祖母の代から伝わるファミリーレシピをもとにマリアさんの母親の、デザートなどのケーキ類は父親の手作りだと誇らしげに話してくれた。

チキンや野菜が詰められローストされた大きなペッパーは、辛くなくまろやかで絶品「Chiles Rellenos」(14.95ドル)

 日本人の口にも合う、どこかホッとする味を気取らず値打ちに楽しめることはもちろんだが、何より、マリアさんの家族を迎えるような温かさが、この店の人気の秘密であることは間違いない。

マリアさんの父親お手製の「Flan」(3.95ドル)や「Mexican Chocolate Cake」(4.95ドル)などのデザートも人気

El Maguey Y La Tuna
321 E Houston St(bet Ave B & Attorney St)
☎212-473-3919
www.elmagueyylatunanyc.com

営業時間
ランチ /火~金曜日 10:30am~4pm
ディナー/火~日曜日 4pm~11pm
ブランチ/火~日曜日 10:30am~4pm
定休日 /月曜日