ネット上の仮想通貨である「ビットコイン」の人気が、ニューヨーク市で急速に高まっている。ことし1月には、マンハッタン区の金融街にほど近いブロード通り沿いに「ビットコイン・センター」も設立された。
ビットコインはインターネット上だけに存在する仮想通貨で、送金や取り引きに手数料がかからないことなどから、2009年の開始以降、世界中で広がりを見せている。
今回、ニューヨーク市にできた同センターは、ビットコインをはじめとする仮想通貨の認知度促進を目的とする教育施設で、仮想通貨に関する基礎知識を学ぶことができる無料授業やイベントを毎日開催している。また、ビットコインを取り引きに利用する企業のためのブースの貸し出しも行っているという。
コロンビア大学でコンピューター科学を専門に研究するスティーブン・ベロヴィン教授は、「ビットコインは数学と暗号学に基づく通貨のようなものとして作られ、中央銀行がなくても機能するのが特徴」と説明する。ただし、ハッカーによるコンピューターへの侵入や、価値の不安定性などのリスクも大きいという。
一方、ニューヨーク市内では、ビットコインによる決済を受け付ける企業も増えている。
アパート検索サイトのレントホップでは昨年12月から、ビットコインの取り扱いを開始した。同社創立者の一人であるリー・リン氏は、「私の目標は不動産業界を石器時代から抜け出させること。ビットコインの利点の一つは、通常の銀行を利用した決済のような手数料がかからない点」と話す。
また、ロウワーイーストにあるバー、オールドマン・ハッスルでも、昨年から飲み物などの支払いにビットコインが利用できるようになった。同店オーナーによれば、ビットコインを使う人は「今のところ、デート相手を感心させたい人だけ」だが、「価値が上がっているため、将来的には彼らが成功者になるかもしれない」と話している。