全米でヘロイン使用が増加 ホフマンさんの死で浮き彫りに

©Victor Habbick


 ヘロインの過剰摂取により2日死亡した米俳優のフィリップ・シーモア・ホフマンさん(46歳)の事件により、これまで沈静したと思われていたヘロイン再流行の実態が浮き彫りとなった。
 薬物乱用・精神衛生管理庁(SAMHSA)の調査によると、全米におけるヘロインの使用者数は2007年の37万3000人から12年には66万9000人と、5年間で約2倍にまで増加している。中でもヘロインの中毒者は02年の21万4000人から12年には46万7000人と、10年間で2倍以上に増加した。
 昨年11月に米疾病対策予防センター(CDC)が発表した週刊疾病率死亡率報告によると、薬物の過剰摂取(OD)による死亡者数が過去10年間で急増しており、10年には4万393人に上った。
 ブラウン大学医学部のトレイシー・グリーン教授がNBCニュースに伝えたところによると、以前は鎮痛剤として合法的に処方されたものや、不正取得した処方薬を利用するのが主流だったが、近年では処方鎮痛剤の取り締まりが強化され価格が上昇して取得が困難となったため、代わりにへロインの需要が高まっているという。
 ヘロインは、もっとも中毒性の高い薬物のひとつとして知られている。過去に、薬物中毒者の更生施設でリハビリ治療を受けていたホフマンさんの自宅アパートからは、約50袋のヘロインと多数の注射器、薬物中毒治療薬が見つかっている。