法務省は5日、保険金を狙った結婚詐欺および殺人などの罪で死刑が確定したニューヨーク州オールバニ郡出身の女性の死刑を、テキサス州で執行したと発表した。
女性に対する死刑執行は男性と比べて極めて少なく、1976年の死刑制度再開以降、全米で14人目となる。これに対し男性は、同期間中に約1400人が死刑となっている。
今回執行されたのは、スザンヌ・バッソ死刑囚(59歳)。ニュージャージー州在住で、知的障害のあったルイ・ムッソさん(当時59歳)に結婚を持ちかけ、ムッソさんが加入していた保険金の受取人となったほか、社会保障給付金も着服していたという。
1998年、ヒューストン市郊外で発見されたムッソさんの遺体には、頭がい骨骨折などの暴行の跡に加え、たばこの火を押し付けた跡や痣など、日常的に虐待を受けていた形跡が多数残されていた。また、遺体を漂白剤で洗い、金だわしで擦った跡も見られたという。
バッソ死刑囚は遺体が発見された後、ムッソさんの捜索願を出したことがきっかけで、殺害を首謀した罪で逮捕・起訴された。事件には、同死刑囚の息子を含む他5人が関わっていたとされる。
同死刑囚は、裁判で出自や経歴について虚偽の証言をしたり、幼女のような振る舞いをするなどの行動を繰り返したうえ、「刑務所で暴行を受けたことが原因で半身体不随になった」と主張していた。弁護人はバッソ死刑囚に精神上の問題があり責任能力がないことを訴えて上告していたが、テキサス州最高裁はこれを却下し、1時間後に死刑執行命令を下していた。