ニューヨーク市警察庁(NYPD)がイスラム教徒を監視する行為は違憲であるとして、ニュージャージー州に住むイスラム教徒らがNYPDを訴えていた裁判で、同州ニューアーク市の連邦地方裁判所は20日、監視は違法ではないとの判決を下した。
同州在住のファーハジ・ハッサンさんを含む8人のイスラム教徒は、NYPDの捜査官が2002年ごろから一般市民である信者の行動を、イスラム教寺院(モスク)や飲食店、学校などで監視していたことにつき、これは宗教や出身国、人種に基づいた人権侵害にあたり、合衆国憲法に違反するとして、12年にNYPDを相手取り、訴えを起こした。
だが、ウィリアム・マティーニ判事は同日、NYPDの行為は人権侵害には当たらず、法律の範囲内でのテロ対策の手段であるとし、訴えを棄却する判決を下した。判事によると、原告らの言い分だけでは宗教を理由に監視の対象とされたとは考えにくく、またイスラム教社会自体を監視せずに、テロリストの監視はできないと述べた。
米兵としてイラクへ赴任した経験もある原告のハッサンさんは、「国のために職を捨て献身してきたのに、侮辱された気分だ。すべては宗教のせいだ」と失望の色を隠せずにいた。同様の訴訟がブルックリン区でも提訴され、現在、係属中である。