顧客情報保護に難色 大規模小売店、流出相次ぐも

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 米量販店ターゲットなどで昨年、顧客の個人情報が大量に流出する事件が起きたが、このような大規模小売店は、顧客情報を守るために、店舗販売時点情報管理システム(POS)やセキュリティー基準の改善を行うことに乗り気でないようだ。
 その理由として、システムの改善にかかる費用や、セキュリティー強化されたカードの導入により長引く会計時間などが挙げられる。クレジットカードの裏面の磁気ストライプには、氏名、取引銀行、カード情報などが組み込まれており、大手小売店ではレジで郵便番号を伝えると、各顧客にダイレクトメールが送付される仕組みとなっている。これらの情報の利用により、小売店は約60%増の利益を得ているという。
 クレジットカードやデビットカードをICカード化し、暗証番号による本人認証を行う「チップ・アンド・ピン・システム」の導入も考慮されているが、この制度を利用すると、ハッカーだけでなく小売店も顧客情報を得ることができなくなる。
 またシステム導入には、全米の6億1000万枚のクレジットカードと5億2000万枚のデビットカード、1500万のカード端末、36万台のATM機の更新が必要で、最低80億ドルの費用がかかるという。
 米国では昨年、過去10年間で最多となる情報流出被害が報告されている。